麺喰ワンダラー(Menkui Wanderer)
column 2025.04.25 荻窪中華そば 春木屋 恵比寿店

「春木屋」の創業は1949年(昭和24年)。私が「春木屋」を初めて食べたのは、上京してきた頃なのでもう50年近く前のことになる。もう半世紀になるのか。東京に来て初めて住んだのが姉の家の近くの昭島市。なので都内に出る際は中央線を使い、定期券を持っていたのでよく途中下車して沿線のラーメンを食べていた。
その頃から「春木屋」は有名だったのでよく食べた。荻窪はラーメン激選区と呼ばれ、あるいは「東京ラーメンの聖地」みたいな言われ方をして頻繁に途中下車したものだ。
(参考:東京ラーメン)
会津のラーメンで育った私だが、もう東京在住歴の方が圧倒的に長いので「東京のラーメン」が血となり肉となっている。
そんな「春木屋」が後継者問題で富士そばのダイタンフード株式会社に事業継承の話を持ちかけ、2020年頃に合意に至ったようだ。その流れの中で2022年、川崎ラゾーナに出店し、そして今度は恵比寿に2025年4月17日オープン。
川崎にも食べに行ったし、今度は恵比寿に出店とは感慨深い。
11時半頃、恵比寿駅東口のバス通りを行くと行列が見えてきた。やっぱり並んでるか、と思ったらそれは「東京豚饅」の行列で、ホッとしたのも束の間。その隣にある「春木屋」の行列の方が長かった。と言っても十数人。カウンター15席 4人テーブル2卓の計23席あり、意外と回転は速い。(食べ終えた12時過ぎには15人くらいの待ち)

主なメニューは、
中華そば950円、わんたん麺1350円、ちゃーしゅー麺1450円、特製中華そば1550円、油そば950円、つけ麺1050円、納豆つけ麺1150円、チャーシューご飯380円、ミニ春木屋昭和カレー380円、他。
完全キャッシュレス制。22時以降は深夜料金。午前3時まで営業。
中華そばとミニカレーを購入。ラーメン好きには有名な「春木屋理論」というのがあり、日々味を進化させている、というもの。
今回も恵比寿店を出すに当たって“進化・変化”したと思う。
川崎の時は、イメージとは違っていたが、今回は「何度か食べてみよう」と思えたので会社や家から近いこともあり、これから何度も食べに来るであろう。まずは近いうちに「納豆つけ麺」を食べに来たい。
店舗情報
荻窪中華そば 春木屋 恵比寿店 公式情報
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目5−10
この記事を書いた人
麺喰ワンダラー(Menkui Wanderer)
column 2025.06.03 千円の壁vs素ラーメン
「千円の壁」が連日ニュースになっている。そんな中、素ラーメンが脚光を浴び始めている。基本メニューが千円または千円を超えるようになってしまい、その打開策として「素ラーメン」を千円以下で出すという方策だ。
千歳船橋の「MAIKAGURA」は基本の醤油らーめんが1100円になった。そこで誕生したメニューが「かけそば」(890円)。麺とスープのみで学生始め、多くの人が頼むようになったという。

数年前から提供しているのは「らぁ麺やまぐち」(早稲田)で「かけそば」(930円)がある。早稲田の学生や予備校が多い街なので、このメニューを頼む人も多いようだ。

今年オープンしたばかりの「なんぞ」(仙川)にも「醤油かけソバ」があり、基本メニューが千円に対して、こちらは800円。店主に聞くと連食で食べていく人が2杯目にこれを頼む人が多いとのこと。実は私もそういう食べ方をしたのだが醤油味と塩味がある店で具が同じ場合に「素ラーメンがあればいいのに」と思っていたのだが、そんな需要があるのかもしれない。

店舗情報
らーめんMAIKAGURA
公式情報
〒156-0055 東京都世田谷区船橋1丁目38−4
らぁ麺やまぐち
公式情報
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田3丁目13−4
ラーメン専門店 なんぞ
公式情報
〒182-0003 東京都調布市若葉町2-25-20
この記事を書いた人
麺喰ワンダラー(Menkui Wanderer)

2025.05.23 札幌みその 三代目博多だるま
仕事でお台場に行くとアクアシティの「東京ラーメン国技館 舞」か「ダイバーシティ東京プラザ」に寄ってラーメンを食べることが多い。特に「東京ラーメン国技館 舞」は全国クラスの人気店が6店舗集まっているので足を運びやすい。「三代目博多だるま」「ひるがお」「頑者NEXT LEVEL」「手打ち中華 玉」「金澤濃厚豚骨 神仙」「札幌みその」と揃っている中、先日は「札幌みその」と「三代目博多だるま」へ。
札幌みその
全国のラーメンイベントで大活躍中。札幌に本店があり、他に札幌駅前、フレスポ恵み野、三井アウトレットパーク札幌北広島、ららぽーと磐田、博多キャナルシティ、ららぽーと愛知東郷、シャポー船橋、ららぽーと湘南平塚と展開中。都内はここだけ。※5月31日に「ららテラス川口店」オープン
イベントではイベント用のメニューで出店することが多く、店舗ではどちらかと言えば王道スープに札幌麺、そしてトッピングに工夫を凝らし、様々なバリエーションを提供。

表のメニューポスターでは3500円の「豪華!伊勢海老味噌ラーメン」(数量限定)がど〜んと目立つ。人気NO.1はチャーシューの盛りがスゴい「炙り豚トロチャーシュー」(1520円)。ビジュアルインパクトとしては「味噌じろう」(1300円)もスゴい。何気なく、「味噌らーめんスペシャル」(1600円)を購入したが、3500円のメニューを見た後だからか安く感じてこのボタンを押してしまった。

よく考えたら、これは他の店の「特製」もしくは「全部盛り」ではないだろうか?コーンもバターも入っている味噌ラーメンを久しぶりに食べたような気がする。二十歳前後の若かりし頃、よく食べた「どさん子」ラーメン。当時まだ北海道に行ったことがないのでコーンバターがデフォルトのようにトッピングして食べていた。今でこそ、観光地化した札幌には増たが、元々はコーンやバターのトッピングはなかったんですよ(笑)。
おいしくいただき、2軒目へ。
博多だるま

2022年にリニュアルしてから3回目。ここ3年ではお台場で一番多く来ている。ショッピングセンターや集合施設ではNGとされてきた“クサウマ豚骨”を提供中。私は会津の出身ではあるが、こういうタイプの豚骨も好き。方向性としては博多の本店と同じだが、店長によってそれぞれ多少の調整が入っているようで、どちらもおいしいけど両店舗を食べた人はそれぞれ意見が分かれそう。講談社の「TRYラーメン大賞」の豚骨名店部門3位にランクイン。

これまた集合施設の店舗が入賞するのはラ博以外だと珍しい。泡系豚骨にワンタンも合うし、卵黄が実に相性が良い。佐賀ラーメンや徳島ラーメンでは当たり前のようにトッピングされているが、ここでも「月見ラーメン」または「月見ワンタンメン」がオススメ。

店舗情報
・札幌みその アクアシティお台場店
・三代目 博多だるま
〒135-0091 東京都港区台場1丁目7−1 アクアシティ お台場 5F
札幌ラーメン 「札幌みその」の公式ページ / 博多ラーメン 「博多だるま」の公式ページ
この記事を書いた人
麺喰ワンダラー(Menkui Wanderer)
2025年4月24日オープン。
高田馬場駅と西早稲田駅の中間あたり、早稲田通り沿いに4軒のラーメン店が並ぶことになった。(1軒は麻辣湯。)
高田馬場で20年以上行列を作っている「渡なべ」グループの4店舗目。
「渡なべ」の限定メニューで何度か出していたメニューのスピンオフ店。
初日は混みそうな気がしたのでパスして二日目の遅めの昼を狙い、13時半頃に行ってみたら15番目。着席までに35分。凄い人気。初日は30人以上並んで警察が来て、並び方の指導?注意?に来たようだ。店主のYOUTUBEの使い方が上手で、初日から大盛況。

店名に“札幌”が付いているが味噌がメインではなく、『札幌ブラック』(醤油味)がウリ。花輪でポスターが隠れていて、ブラック推しが見えなかったせいか、私の両隣は味噌を食べていた。
『札幌ブラック』と言えば、ラーメン好きなら札幌の「いそのかづお」で出しているのを知っているはず。「渡なべ」店主の渡辺さんももちろん食べに行っており、かなり気に入ってるが、そこの味を参考にしたわけではない。もちろん名称や黒醤油を使うところはヒントになっているのかもしれないが、実際は“純すみ系”(「すみれ」「純連」及びそこの出身者が出すラーメン)の醤油と「富山ブラック」のハイブリッドラーメンである。渡辺さんが“ラヲタ店主”だからこそできるメニューといえよう。
渡なべスタイルでは創業当時から麺は三河屋製麺を使用。大変義理がたく、限定でも他の製麺所の麺を滅多に使わなかった。しかし、この札幌シリーズだけは札幌の麺を使用。今回も札幌の森住製麺から送ってもらっている。札幌では、お店の暖簾を担当している製麺所が寄贈する、という習慣があり、今回も同様に森住製麺から名前入りで寄贈されている。これまた“ラヲタ店主”の渡辺さんだからこそ、この暖簾は必須だったはずだ。

券売機は最新タッチパネル式。現金使用不可、キャッシュレスオンリー。
主なメニューは、札幌ブラック1200円、札幌塩ラーメン1200円、札幌味噌ラーメン1200円、味玉150円、チャーシュー300円、他。カウンター10席、トイレは2階。
購入したのは店のイチオシで私も一番好きな「札幌ブラック」。丼から溢れるほどのスープが入って受け皿に少しこぼれているほど。それだけでとてもうまそうなビジュアルになっている。受け皿があるのにレンゲは丼に入って出てくるのがなんとも。撮影用に受け皿に移して撮った。見るからにしょっぱそうな黒いスープ。こういう場合、「見た目しょっぱそうだが、飲んでみるとまろやか」なんていうお店もあるが、こちらはマジでしょっぱくて、完飲は無理(笑)。ご飯が欲しくなり、クセになるしょっぱさ。生のニンニクも効いており、熱々で札幌らしさも十分。具はスライスチャーシューが4-5枚。ちゃん系風と書いている人が居たが、明らかにこちらの方が古い。そもそも肉質的に富山ブラック寄り。そしてザク切りの白ネギとたっぷりの黒胡椒。過去に何度も食べているがこれはもう完成しているブランドメニューと言っていい。実に個性的でそれでいておいしい。(かなりしょっぱいけど)一般の人がこのしょっぱさをどう思いながら食べるのやら。

麺は札幌の有名製麺所、森住製麺製で麺の色が黒くなるくらいスープが染み込んで実にウマイ。やや固めの食感もいい。
後日、塩や味噌も食べてみたい。
というわけでだいたい1カ月後に再訪。塩ラーメン狙いです。「札幌ブランド」のラーメン店なのに味は「ブラック」(醤油)推しなのも珍しい。そして、味噌味は二番目ですらない。二番目の推しは「塩ラーメン」なのだ。“純すみ系”は圧倒的に味噌味人気だが、店によっては塩が隠れた人気メニューである場合もある。「ラーメン郷」(大和市)などもそうだ。

私は純すみ系は味噌が好きなので再訪時も味噌を食べることが多く、塩は滅多に食べない
こういう機会でもないと食べないと思うので、今回は満を持して「塩」である。そう言えば、祝花もなくなり、推しメニューが見られるようになっていた。

トップに「札幌ブラック」が来て、次に「塩ラーメン」、そして「味噌ラーメン」である。券売機もこの順番。そして、先日もお台場の味噌ラーメンでコーンバター入りを食べたが今回も追加トッピングで「バター」と「コーン」を追加。この「バター」と「コーン」は札幌の地元には大昔はなかったメニュー。それが「どさん子」の創業者が札幌のイメージでバターとコーンをトッピングにしたら大ヒット。逆に観光客が札幌の店に行った際に「バターとコーンを入れて」という注文が増えたために後付けでメニューに加えたという逸話がある。そして私はその創業者に直接聞いたのだが「私がどさん子を作った頃は札幌に行ったことが無かったんだよ」と笑いながら教えてくれた。そんなことがあるんだ。ラーメンにバターとコーンを入れるというのはある意味“大発明”だと思うのだが、むしろ札幌に行かないからこそ出てきたアイデアと言える。面白い話だ。

さて塩ラーメンだが、最初はあまり混ぜないでバターもコーンもないところから食べ始める。ベースのスープは札幌ブラックと同じだが、いい意味で別物に思えるからスゴい。このメニューで塩ラーメン専門店を出せるくらいおいしい。さすが、味噌より自信作と言うだけある。そしてバターやコーンのある場所を食べ始める。実にマッチしている。やはりラーメンにバターとコーンを入れるというのは発明である。実においしく、レンゲでコーンをすくって食べていたら、完食完飲。いや〜おいしかった。次は三番目の味噌ラーメン。それを食べるのは、いつになることやら。
「渡なべ」グループ(渡なべスタイル)の歴史
●2002年4月:「渡なべ」(高田馬場)創業。
●2010年3月:「神保町 可以」(神保町)オープン。
●2017年9月:「六坊担々麺」(池袋)オープン。
●2022年3月:「極み麺」(池袋・閉店)
「六坊」シリーズの歴史
●2004年?:香港に「六坊」出店(閉店)。
●2005年:「TOKYO NOODLE 六坊」(高田馬場・閉店)
●2017年:「六坊担々麺」(池袋)オープン。
●2025年:「札幌六坊」(高田馬場)オープン。
渡なべスタイルの「札幌ブラック」の歴史
●2018年:限定メニューで「札幌ブラック」初登場
その後も何度か登場。塩や味噌も同時発売。
●2022年:「渡なべ」監修でカップ麺発売。名前は「やみつきブラック」。
●2022年:東京ラーメンフェスタ(駒沢公園)に「札幌ブラック」で出店。
●2025年:「札幌六坊」(高田馬場)オープン。
店舗情報
札幌 六坊
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1丁目4−18
この記事を書いた人

東京ラーメンとは
オーソドックスな醤油ラーメンであり、日本式ラーメンの原型とも言える存在。「中華そば」「支那そば」の呼び名でも表示される。1910年に当時流行の最先端だった浅草に店を構える「来々軒」が発祥とされており、叉焼(チャーシュー)、支那竹(メンマ)を初めてトッピングするなど、日本式ラーメンの基礎を築いた店とされる。鶏ガラを中心に野菜や豚骨でじっくり煮出した透明感のあるスープを使用し、麺はスープに絡みやすい中細の縮れ麺が一般的である。また、近年は動物や野菜のダシに加え、魚介をスープのダシとすることが多い。
様変わりする「東京ラーメン」
古くから「東京ラーメン」というのは間違いなく存在していた。それらはあっさりとした醤油味に細めの縮れ麺、シンプルな具で構成される。スープは煮干しや昆布など海産物系が使われ、弱火で煮出した透明感のあるスープが特徴である。しかし、いまの時代、東京で食べられるラーメンに関していえば、無国籍・全国版である。ほとんどどこの地域の麺類でも食べられるようになった。全国各地の有名店が次々と都内に出店し、群雄割拠の様相を呈している。
浅草の「来々軒」が東京初のラーメンと言われており、1910年の開店。日本のラーメンブームの発祥と言われる。現在は店を閉めてしまったが、その流れを汲む店が千葉の稲毛にあり「進来軒」として現在も東京ラーメンを出している。
その後、東京では多発的にラーメン店が登場した。老舗では「大勝軒」(人形町:1912年)、「萬福」(銀座:1929年)、「春木屋」(荻窪:1949年)など。老舗の「萬福」はすでに三代目になるが昔とかわらぬ味を銀座で提供し続けている。三角形の卵焼きが印象に残るラーメンである。
ラーメンジャパン / ラーメン店の例
東京の老舗ラーメン店の例
背脂チャッチャ系
一方、背脂チャッチャ系の元祖である「ホープ軒本舗」(吉祥寺:1938年)から「ホープ軒」(千駄ヶ谷:1960年)や「土佐っ子」(ときわ台:1970年頃)が誕生し、東京背脂系を形成する。
「ホープ軒」からは「弁慶」(堀切:1972年)、「香月」(恵比寿:1973年)など、一世を風靡するお店も誕生した。
※背脂チャッチャ系とはスープにコクを出す為、煮込んだ豚の白い背脂をスープに入れること。網で背脂をチャッチャッと振りかける動作(音)から定着した呼び名。
東京背脂系ラーメン店の例
荻窪ラーメン
荻窪では「春木屋」以外に「丸福」「丸長」「丸信」「佐久信」「二葉」「漢珍亭」などの人気店があり、荻窪ラーメンという名称で呼ばれていた。(漢珍亭、佐久信 閉店) どちらも老舗で「春木家本店(1931年創業)」と「春木屋 荻窪本店(1949年創業)」があるが兄弟親戚関係で独立採算なのでどちらも本店と名乗っている。
荻窪ラーメン店の例
「丸長」からつけめんの「大勝軒」が分かれていき、こちらも後に一大勢力になっていく。1990年代には車で食べに行くことも多かったため街道沿いに人気ラーメン店が集中した。環七ラーメン戦争などという言葉が生まれたのもこの頃である。
環七ラーメン戦争
環七ラーメン戦争とは1990年代初頭、東京の外側を半周する都道「環七通り」沿いに出現した数々のラーメン店とその熱気と人気を指す。深夜まで路上駐車の列ができ、住人との揉め事も起き、社会問題となる。全盛期には100軒以上のラーメン店がしのぎを削ったとされ、今でも70軒以上のラーメン店が営業する激戦地との事。当時の代表店「なんでんかんでん」「土佐っ子」は閉業して後継店が別の場所にできているが、当時から根強く現在も営業している店舗があるので例として店舗を以下に示します。
1986年「食材の鬼」と呼ばれた佐野実氏の「支那そばや」(藤沢→横浜)の登場により、ラーメンに対する「こだわり」が芽生え始めた。
96年組
1996年に創業した「麺屋武蔵」(青山)「青葉」(中野)「くじら軒」(横浜)の存在が後に影響を与えることが多く(96年組と呼ばれている)、インターネットの普及とともにラーメンも大きく進化・発展していった。店舗数も県別では圧倒的で最近では若い人の出店も多く、最新のトレンドを生み出している。
中国から伝来したラーメンに「醤油」を使うことで「日本式ラーメン」が誕生したと言われている。東京におけるラーメンの特徴は「醤油」であろう。スープは鶏ガラベースで豚骨を加える場合でも清湯(半透明の澄んだスープ:醤油色)が多く、そこに野菜や魚介系の和風出汁などを加えるのが一般的。煮干しや鰹節など魚介系もよく使われていた。
96年組(創業年)と呼ばれている「麺屋武蔵」や「青葉」は動物系と魚介系を別取りし、直前にブレンドするという方式で香りを立たせていた。それを「Wスープ」と呼んでいる。
11年組
2000年に入ってからは若い店主が店を出すことが増え、斬新なラーメンが増えていった。特に2011年に創業した「ソラノイロ」「くろき」「マタドール」は11年組と呼ばれ、新しいスタイルを築き始めた。
多様化・原点回帰・進化
2015年には世界で初めてラーメンがミシュランで星を獲り、世界的にも注目された。千円の壁と言われていたが、もはや人気店では千円超えを果たしている。最近では「原点回帰」などという言葉とともに見た目は昔懐かしいタイプに見えるラーメンも増えてきたが出汁の取り方や、スープの濃度(清湯でも高い濃度がある)に大きな違いがあり、原価の掛け方が変わってきた。また醤油その物にこだわったり、香味油にも工夫するようになってきた。
水と鶏しか使わない「水鶏系」という言葉が出てきたのも最近だ。鶏ガラだけではなく、丸鶏を使ったり、産地を厳選したり、こだわりにはとめどない。
新しいタイプの醤油(東京)ラーメン店 例
水鶏系ラーメン店 例
約2000店、おそらく世界で一番多くのラーメン店が存在する東京。今後も進化を続けるでしょう。

東京メトロ銀座線田原町駅の近くに2軒の行列店が誕生している。
まずは今年4月19日にオープンした「麺 みつヰ」(東京都台東区)。浅草からの移転だ。ミシュランガイドにも掲載されたことがある人気店で行列がすごく、今では整理券方式になっている。その真隣に9月11日にオープンしたのが「自家製麺 うるち(URUCHI ,ULT,RAMEN)」(同)だ。
2023.10.19 ZAKZAKより
コラムの全文は【ココ】をクリックしてください。
ラーメン耳寄り情報
自家製麺うるち(東京メトロ銀座線田原町駅1番出口から徒歩約1分) 複数の有名店で修業した店主が、2023年9月11日にオープンした新店。個性的な自家製麺を使い、懐かしい感じと新しさを併せ持った新しいタイプのシン東京ラーメンを提供。すでに人気になりつつある。
■大崎 裕史(おおさき・ひろし)
自称「日本一ラーメンを食べた男」。2022年3月末で約2万7500杯のラーメンを食破。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役、日本ラーメン協会理事。Webおよび携帯の「ラーメンデータベース」を運営している。