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麺喰ワンダラー(Menkui Wanderer)

2025.05.23 札幌みその 三代目博多だるま

仕事でお台場に行くとアクアシティの「東京ラーメン国技館 舞」か「ダイバーシティ東京プラザ」に寄ってラーメンを食べることが多い。特に「東京ラーメン国技館 舞」は全国クラスの人気店が6店舗集まっているので足を運びやすい。「三代目博多だるま」「ひるがお」「頑者NEXT LEVEL」「手打ち中華 玉」「金澤濃厚豚骨 神仙」「札幌みその」と揃っている中、先日は「札幌みその」と「三代目博多だるま」へ。

札幌みその

全国のラーメンイベントで大活躍中。札幌に本店があり、他に札幌駅前、フレスポ恵み野、三井アウトレットパーク札幌北広島、ららぽーと磐田、博多キャナルシティ、ららぽーと愛知東郷、シャポー船橋、ららぽーと湘南平塚と展開中。都内はここだけ。※5月31日に「ららテラス川口店」オープン
イベントではイベント用のメニューで出店することが多く、店舗ではどちらかと言えば王道スープに札幌麺、そしてトッピングに工夫を凝らし、様々なバリエーションを提供。

表のメニューポスターでは3500円の「豪華!伊勢海老味噌ラーメン」(数量限定)がど〜んと目立つ。人気NO.1はチャーシューの盛りがスゴい「炙り豚トロチャーシュー」(1520円)。ビジュアルインパクトとしては「味噌じろう」(1300円)もスゴい。何気なく、「味噌らーめんスペシャル」(1600円)を購入したが、3500円のメニューを見た後だからか安く感じてこのボタンを押してしまった。

よく考えたら、これは他の店の「特製」もしくは「全部盛り」ではないだろうか?コーンもバターも入っている味噌ラーメンを久しぶりに食べたような気がする。二十歳前後の若かりし頃、よく食べた「どさん子」ラーメン。当時まだ北海道に行ったことがないのでコーンバターがデフォルトのようにトッピングして食べていた。今でこそ、観光地化した札幌には増たが、元々はコーンやバターのトッピングはなかったんですよ(笑)。
おいしくいただき、2軒目へ。

博多だるま

2022年にリニュアルしてから3回目。ここ3年ではお台場で一番多く来ている。ショッピングセンターや集合施設ではNGとされてきた“クサウマ豚骨”を提供中。私は会津の出身ではあるが、こういうタイプの豚骨も好き。方向性としては博多の本店と同じだが、店長によってそれぞれ多少の調整が入っているようで、どちらもおいしいけど両店舗を食べた人はそれぞれ意見が分かれそう。講談社の「TRYラーメン大賞」の豚骨名店部門3位にランクイン。

これまた集合施設の店舗が入賞するのはラ博以外だと珍しい。泡系豚骨にワンタンも合うし、卵黄が実に相性が良い。佐賀ラーメンや徳島ラーメンでは当たり前のようにトッピングされているが、ここでも「月見ラーメン」または「月見ワンタンメン」がオススメ。

店舗情報

・札幌みその アクアシティお台場店
・三代目 博多だるま
〒135-0091 東京都港区台場1丁目7−1 アクアシティ お台場 5F

札幌ラーメン 「札幌みその」の公式ページ / 博多ラーメン 「博多だるま」の公式ページ

この記事を書いた人

大崎 裕史 自称「日本一ラーメンを食べた男」。2024年6月末で約2万9000杯のラーメンを食破。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役 Webおよび携帯の「ラーメンデータベース」を運営している。

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麺喰ワンダラー(Menkui Wanderer)

2025年4月24日オープン。
高田馬場駅と西早稲田駅の中間あたり、早稲田通り沿いに4軒のラーメン店が並ぶことになった。(1軒は麻辣湯。)
高田馬場で20年以上行列を作っている「渡なべ」グループの4店舗目。
「渡なべ」の限定メニューで何度か出していたメニューのスピンオフ店。
初日は混みそうな気がしたのでパスして二日目の遅めの昼を狙い、13時半頃に行ってみたら15番目。着席までに35分。凄い人気。初日は30人以上並んで警察が来て、並び方の指導?注意?に来たようだ。店主のYOUTUBEの使い方が上手で、初日から大盛況。

店名に“札幌”が付いているが味噌がメインではなく、『札幌ブラック』(醤油味)がウリ。花輪でポスターが隠れていて、ブラック推しが見えなかったせいか、私の両隣は味噌を食べていた。
『札幌ブラック』と言えば、ラーメン好きなら札幌の「いそのかづお」で出しているのを知っているはず。「渡なべ」店主の渡辺さんももちろん食べに行っており、かなり気に入ってるが、そこの味を参考にしたわけではない。もちろん名称や黒醤油を使うところはヒントになっているのかもしれないが、実際は“純すみ系”(「すみれ」「純連」及びそこの出身者が出すラーメン)の醤油と「富山ブラック」のハイブリッドラーメンである。渡辺さんが“ラヲタ店主”だからこそできるメニューといえよう。

渡なべスタイルでは創業当時から麺は三河屋製麺を使用。大変義理がたく、限定でも他の製麺所の麺を滅多に使わなかった。しかし、この札幌シリーズだけは札幌の麺を使用。今回も札幌の森住製麺から送ってもらっている。札幌では、お店の暖簾を担当している製麺所が寄贈する、という習慣があり、今回も同様に森住製麺から名前入りで寄贈されている。これまた“ラヲタ店主”の渡辺さんだからこそ、この暖簾は必須だったはずだ。

券売機は最新タッチパネル式。現金使用不可、キャッシュレスオンリー。
主なメニューは、札幌ブラック1200円、札幌塩ラーメン1200円、札幌味噌ラーメン1200円、味玉150円、チャーシュー300円、他。カウンター10席、トイレは2階。

購入したのは店のイチオシで私も一番好きな「札幌ブラック」。丼から溢れるほどのスープが入って受け皿に少しこぼれているほど。それだけでとてもうまそうなビジュアルになっている。受け皿があるのにレンゲは丼に入って出てくるのがなんとも。撮影用に受け皿に移して撮った。見るからにしょっぱそうな黒いスープ。こういう場合、「見た目しょっぱそうだが、飲んでみるとまろやか」なんていうお店もあるが、こちらはマジでしょっぱくて、完飲は無理(笑)。ご飯が欲しくなり、クセになるしょっぱさ。生のニンニクも効いており、熱々で札幌らしさも十分。具はスライスチャーシューが4-5枚。ちゃん系風と書いている人が居たが、明らかにこちらの方が古い。そもそも肉質的に富山ブラック寄り。そしてザク切りの白ネギとたっぷりの黒胡椒。過去に何度も食べているがこれはもう完成しているブランドメニューと言っていい。実に個性的でそれでいておいしい。(かなりしょっぱいけど)一般の人がこのしょっぱさをどう思いながら食べるのやら。

麺は札幌の有名製麺所、森住製麺製で麺の色が黒くなるくらいスープが染み込んで実にウマイ。やや固めの食感もいい。

後日、塩や味噌も食べてみたい。

というわけでだいたい1カ月後に再訪。塩ラーメン狙いです。「札幌ブランド」のラーメン店なのに味は「ブラック」(醤油)推しなのも珍しい。そして、味噌味は二番目ですらない。二番目の推しは「塩ラーメン」なのだ。“純すみ系”は圧倒的に味噌味人気だが、店によっては塩が隠れた人気メニューである場合もある。「ラーメン郷」(大和市)などもそうだ。

私は純すみ系は味噌が好きなので再訪時も味噌を食べることが多く、塩は滅多に食べない
こういう機会でもないと食べないと思うので、今回は満を持して「塩」である。そう言えば、祝花もなくなり、推しメニューが見られるようになっていた。

トップに「札幌ブラック」が来て、次に「塩ラーメン」、そして「味噌ラーメン」である。券売機もこの順番。そして、先日もお台場の味噌ラーメンでコーンバター入りを食べたが今回も追加トッピングで「バター」と「コーン」を追加。この「バター」と「コーン」は札幌の地元には大昔はなかったメニュー。それが「どさん子」の創業者が札幌のイメージでバターとコーンをトッピングにしたら大ヒット。逆に観光客が札幌の店に行った際に「バターとコーンを入れて」という注文が増えたために後付けでメニューに加えたという逸話がある。そして私はその創業者に直接聞いたのだが「私がどさん子を作った頃は札幌に行ったことが無かったんだよ」と笑いながら教えてくれた。そんなことがあるんだ。ラーメンにバターとコーンを入れるというのはある意味“大発明”だと思うのだが、むしろ札幌に行かないからこそ出てきたアイデアと言える。面白い話だ。

さて塩ラーメンだが、最初はあまり混ぜないでバターもコーンもないところから食べ始める。ベースのスープは札幌ブラックと同じだが、いい意味で別物に思えるからスゴい。このメニューで塩ラーメン専門店を出せるくらいおいしい。さすが、味噌より自信作と言うだけある。そしてバターやコーンのある場所を食べ始める。実にマッチしている。やはりラーメンにバターとコーンを入れるというのは発明である。実においしく、レンゲでコーンをすくって食べていたら、完食完飲。いや〜おいしかった。次は三番目の味噌ラーメン。それを食べるのは、いつになることやら。

「渡なべ」グループ(渡なべスタイル)の歴史
●2002年4月:「渡なべ」(高田馬場)創業。
●2010年3月:「神保町 可以」(神保町)オープン。
●2017年9月:「六坊担々麺」(池袋)オープン。
●2022年3月:「極み麺」(池袋・閉店)

「六坊」シリーズの歴史
●2004年?:香港に「六坊」出店(閉店)。
●2005年:「TOKYO NOODLE 六坊」(高田馬場・閉店)
●2017年:「六坊担々麺」(池袋)オープン。
●2025年:「札幌六坊」(高田馬場)オープン。

渡なべスタイルの「札幌ブラック」の歴史
●2018年:限定メニューで「札幌ブラック」初登場
その後も何度か登場。塩や味噌も同時発売。
●2022年:「渡なべ」監修でカップ麺発売。名前は「やみつきブラック」。
●2022年:東京ラーメンフェスタ(駒沢公園)に「札幌ブラック」で出店。
●2025年:「札幌六坊」(高田馬場)オープン。

店舗情報

札幌 六坊
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1丁目4−18

この記事を書いた人

自称「日本一ラーメンを食べた男」。2024年6月末で約2万9000杯のラーメンを食破。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役 Webおよび携帯の「ラーメンデータベース」を運営している。

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札幌ラーメンとは

北海道札幌市発祥のラーメンで、日本三大ラーメンのひとつに数えられており、知名度は全国区。西山製麺所が開発した、縮れがある多加水熟成麺が一般的。この多加水熟成麺はもちもちとして弾力があり、粘りが強いのが特徴。ラーメンが冷めるのを防ぐため、スープにラードなどを浮かべる。現在は味噌ラーメンが多いが味噌以外も多数ある。札幌市内にあるラーメン店の数は1000以上と言われ「ラーメン王国」などと称されることもある。

味噌ラーメンは40年経ってから

始まりは大正11年(1922年)の「竹家食堂」。「ラーメン」という呼称が誕生した店としても知られている。
その後、札幌で「龍鳳」「だるま軒」などの屋台が誕生したのは昭和21〜22年頃(1946年〜1947年)。かれこれもう100年近くの歴史があることになる。
冬はかなり寒くなることから、身体があたたまる熱々のスープが誕生したと言われている。注文のたびに中華鍋で挽肉、太もやし、玉ねぎなどをたっぷりのラードで炒め、そこに味噌と豚骨ベースのスープを加え、熱々に仕上げるのが札幌風。かなりの高温なのにラードが蓋をして湯気が出ないため、慌てて食べると火傷するので注意しなければならないほど熱い。野菜とスープを一緒に軽く煮込むので野菜の旨味も加わり、一体感のあるスープができあがる。
スープではニンニクとショウガが欠かせない存在になり、身体を温める効果と元気になった気分になるのがいいところ。
麺は札幌ラーメンの発展に大きく貢献している「西山製麺」のかん水が効いたコシの強い中太の多加水熟成縮れ麺。
また、麺には鶏卵が練り込まれて黄色い。後に多くの製麺所ができたが同じような麺を作っていることにより「札幌ラーメン」のイメージが形成された。

西山製麺は「公楽ラーメン名店街」(1951)(現在は「元祖さっぽろラーメン横丁(1971~)」
で出店した8軒のうちの1軒、「だるま軒」のが母体。当時から製麺技術に定評があり、1953年製麺部門が独立してできた歴史ある製麺会社だ。 1947創業のだるま軒は二条市場にて現在も営業している。

味噌ラーメンの元祖は「味の三平」。老舗では「味の来々軒(閉業)」「味の時計台」などもある。
本来は醤油味を中心に出していたが「味の三平」が「味噌味メン」(味噌ラーメン)を誕生させたことにより、大きく様変わりした。「味の三平」が味噌味を試作したのが1954年~1955年頃。雑誌に掲載されたことから人気となった。
大熊勝信氏の「熊さん」が東京大阪の北海道物産店で味噌ラーメンを提供し、評判を呼び、知名度が全国区に。
札幌のラーメン店では、味噌ラーメンの人気とともに、醤油味・塩味・味噌味の3種類を出すのが定番となる。
1960年頃、特に観光客には「札幌は味噌」というイメージが定着した。
つまり、それまでの間40年近くは札幌も醤油ラーメンの文化だったのだ。
また、“バターラーメン”発祥の店とされる「味の華平」(1969年創業)は2020年惜しまれながら閉店したが、ラーメンにバターを入れるというスタイルは多くのお店で残っている。

ラーメンジャパン / ラーメン店の例

旧来の札幌ラーメンを継承・提供する店舗の例

純すみ系

1964年「純連(すみれ)」(漢字で「純連」と書いて“すみれ”と読ませていた)を村中明子が創業し、その長男が「純連(じゅんれん)」三男が「すみれ」という二つの店を出した。そこで働く人が増え、修業して独立する人も急増。同系統の味のお店が増えていった。それらの店を二店舗の店名から「純すみ系」と呼ぶようになった。特に「すみれ」の新横浜ラーメン博物館への出店が大きく、全国にその名を知られるようになった。
中華鍋を使うのは以前と一緒だがラードやニンニク、味噌の使い方など、パンチの効いた熱々のスープが大きな特徴。マニア間では「純すみ系」、マスコミでは新札幌ラーメンなどと呼ばれていた。

純すみ系のラーメン店の例

1967年東京出身の青池保氏がデパートの北海道物産展をヒントに「どさん子ラーメン」(※どさん子は北海道生まれの意味)を開始。マクドナルドのフランチャイズ方式を参考に1970-80年最盛期には1000店以上を日本中に出店。札幌味噌ラーメンの知名度を決定づけた。
1990年から2000年にかけて旭川の伝統の醤油ラーメンが札幌に進出してきて、その影響から札幌ラーメンは多様化を見せる。
独自の醤油ラーメンを極めた「てつや」や「ななし」「むら山」「ふくや」
豚骨塩味「五丈原 」や「山頭火」、旭川味噌ラーメンの元祖「よし乃」など。
また北海道石狩市で生まれ、札幌で人気となり行列作るラーメン店「らーめん 信玄」(創業1998年)。豚骨をベースとして醤油や塩ラーメンも置くも札幌では味噌ラーメンが不動の人気という。札幌は味噌ラーメンが求められているのかもしれない。
1000軒以上あるといわれる札幌のラーメン店。中華食堂から始まり、屋台の醤油、味噌ラーメンの発生とブーム、旭川や他エリアのラーメンの流入、そこからの再進化。「ラーメン王国」と呼ばれる札幌は今後もラーメンを発展させていくであろう。

新興勢力の札幌のラーメン店の例

首都圏の札幌ラーメンを提供するお店の例

スーパーやネット通販で買える札幌ラーメンの例

※全国のスーパー・ドラッグストア・公式通販(日本国内へのお届けのみ)にてご購入いただけます。