山形ラーメン (山形県)
山形ラーメンとは
山形県を発祥とするご当地ラーメンの総称。 山形県はラーメン消費量が日本一と言われている。 山形県では、醤油ベースのスープに中華麺が入ったラーメンは「中華そば」と呼ばれることが多い。そういった醤油ベースのスープのラーメンこそが「山形ラーメン」であるとする人もいる。味自体は、県内の各地域や各店で異なるため、ひとつのメニューを指して「これが山形ラーメン」とひとくくりに定義できる物ではない。また、蕎麦屋においても中華そばを提供する店が多く、中には本業の蕎麦よりもラーメンのほうが人気となっている蕎麦屋もある。
「冷やしラーメン」だけじゃない
ここのところ、「冷やしラーメン」で紹介されることが多い山形。確かに「冷やしラーメン」の元祖は本町の「栄屋本店」である。スープは牛肉のブイヨンがベース、しかもチャーシューも牛肉というユニークさである。そして、冷やしワンタンメンの元祖が北山形の「栄屋分店」だ。
他にも冷やしラーメンのバリエーションが豊富で、しかも50年以上の歴史があるので有名店も多い。透き通った塩味スープの冷やしが人気の「山長(やまちょう)」、酒粕が隠し味の冷やしやまぶきがある「廣東」、芋煮を具に加えた「佐藤屋」(休業中2023年)などである。
そして寒河江地区で有名なのは冷やし鶏そば。「いろは」などにあるが、そば屋の発想であろうと思われるユニークな一品だ。これがまた旨いのである。
しかし山形は冷やしラーメンだけの県ではない。ラーメンが美味しい街もたくさんあり、それぞれに特徴があるのだ。何せ、中華麺の消費量は日本一という統計資料もある。
米沢は鶏ガラ・煮干し中心のさっぱり醤油味。幅広の縮れ麺。「ひらま」「熊文」などが代表。ちょっとタイプが違うが「やまとや」も人気。
温泉で知られる赤湯エリアには、辛味噌で名高い「龍上海」がある。山形市などにもあるが、親戚筋にしか暖簾分けを認めず、しかも原則取材拒否店なので、地元中心に人気の店である。ラーメン好きは一度は訪れてほしい店である。
天童エリアには100年を超える歴史のある蕎麦屋「水車そば」があるが、ここで出される鶏中華は蕎麦と中華の合体・融合という感じで、斬新である。もともと蕎麦屋なので裏メニューで出していたらしいが、人気が広がり、とうとうメニューに載せることにしたもの。地元では、他の店でも出はじめており、天童の地ラーメンになりつつあるようだ。
新庄エリアではこちらも蕎麦屋だが「一茶庵本店」「一茶庵支店」「一茶庵分店」などがある。出は一緒らしいが今ではまったく別物が出てくるので面白い。特に人気があるのが「一茶庵支店」。ここのもつラーメンは名物になっている。また珍しい「ぬるまラーメン」というのがある。これは茹でた麺をいったん水で締め、それを熱いスープに入れたラーメンである。全国でもかなり珍しいメニューである。
酒田エリアは自家製麺比率が日本一ともいわれており、それだけに麺へのこだわりは強い。多加水の細麺で熟成させた麺を使う。面白いことに店名に「月」が付く店が多く、「三日月軒」「満月」「新月」「半月」など。手打ちというと青竹が思い浮かぶが、「三日月軒」では鉄棒を使って体重をのせ麺を打っている。これは酒田でも珍しく、全国でもそんなに聞かない。
●「栄屋本店 冷やしらーめん」 冷やしラーメンの元祖といわれる店。スープは牛肉のブイヨンがベース。チャーシューも牛肉。
●「龍上海 赤湯からみそラーメン」 さらっとした辛味噌がのっており、これが結構辛い。しかしクセになる味。
●「水車そば 鶏中華」 日本そば屋の裏メニューで人気№1だった。和風のスープに揚げ玉が絶妙で面白い。