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ラーメンペディア

大阪ラーメン(大阪府)

近畿(関西)エリアご当地ラーメン探訪

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大阪ラーメンとは

明確な「大阪ラーメン」は特になく、他地域からの流入したラーメンと変わり種のラーメンが多数ある。
また「高井田系ラーメン」という工場労働者向けに提供されはじめて定着していったの塩分濃い目の「地ラーメン」があり、ひとつのジャンルを形成している。

意外にも「群雄割拠」

 俗にいう「食い倒れの街」大阪。しかし、なぜか「大阪ラーメン」は存在しない。1940年代にはラーメン屋もあったらしいが、大きな営業を及ぼすには至っていない。
また、2015年の日経新聞の記事からの引用になるが人口10万人あたりのラーメン店の数は10.6店で日本47都道府県中、兵庫県、奈良県と並び全国45位で消費額も少ない。
理由は諸説あるが、400年以上前から大阪城建築の頃からあり、安価で美味しい「うどん文化」が定着していることと言われている。ラーメンの価格よりうどんの価格の方が安く、口に慣れているということだ。また、うどんにも使われる昆布やカツオのダシの文化(旨味・甘みがやや強く塩分濃度が低い)が浸透している大阪で、醤油などの塩分強めタレ(カエシ)を用いた鶏ガラベースや豚骨ベースのラーメン(中華そば)はあまり合わなかったという説もある。

大阪のラーメンの特徴として変わり種ラーメンが多いことも挙げられる。人気ランキングでよく一位になるのがミナミの「神座(かむくら)」。ここは、コンソメ風とでもいおうか洋風スープのような感じで、しかも白菜を具に使っている。ラーメンの種類ならなんでもあるといわれる東京でもこれに似たラーメンはない。「揚子江」は、1964年創業の塩ラーメン店で具に春菊がのっている。暖簾分けを含め何軒か、関連店が存在する(福井にもある)。トマトラーメンで有名なのは「信濃路」(2022年末に惜しくも閉店)。大阪には他にも「拉麺開花(かいほう)」や「麺や 五山」などトマトラーメンを出す店があり、けっこう人気も高い。
また、「まいど商店」という店が「うちが大坂ラーメンを作る」といって、変わったラーメンを出していた。
 たっぷりのニンニクを使うことで人気になった「薩摩っ子」は、多店舗展開中。
 おこげをラーメンに入れるという発想で評判になった「創作麺処 つる」は、日本料理出身者。現在は店名を「丹頂」とし、名物メニューの茶碗蒸しラーメンを提供。さらに火をつける茶碗蒸しラーメンフロマージュがある。
 このように変わり種が人気になってしまうのが大阪の特徴のようにも思われる。しかし、個人的にいちばん大阪らしいと思っているのは、ライトな豚骨スープのラーメンである。おそらく元祖は24時間営業の「金龍」。道頓堀の目立つところにあり、絶えずに賑わっている。龍を象った派手な外観といい、どこかナニワっぽさを感じてしまうのである。
 他には食前酒として白ワインがサービスされる「らいよはうす」。ここはチャーシューが美味しい。薬味にカレー粉があるのも珍しいが、豚骨に意外なほどカレー粉が合うのである。チャーシューとその端っこをうまく使ったヘタ丼(刻みチャーシュー丼)が人気の「福将軍」は、九州ラーメンと謳っているがライトな豚骨である(2014年閉業)。ヘタ丼が名物や人気商品になっているお店は多く、「みつ星製麺所 福島本店」や「麺屋 縁」など多くのお店で提供している。
寝屋川の「功留館ふりだしや」は、山形の三元黒豚を使っているライト豚骨で、チャーシューが旨い。そしてソースカツ丼が人気。
大阪のど真ん中、中央区の本町にある「フラン軒」はソフトクリーム等をラーメンの中央に置く衝撃的な商品を期間限定で売り出すが通常商品が美味いと人気。

変わり種や特徴のあるラーメン店の例

東大阪市の北西端、大阪城からは東、地下鉄中央線高井田駅の周辺である「高井田地区」には、極太のうどんのような麺に鶏ガラベースの真っ黒な醤油ラーメンを出すところが数軒ある。
1953年屋台から創業の「光洋軒」、1945年創業(菓子店)1956年中華そば提供開始の「住吉」が老舗。ここを発祥として、高井田系といわれる地元のラーメンが大阪には一つのジャンルを形成している。
ルーツは、夜勤明けの地元町工場の労働者達に、屋台でラーメンを提供していたのが始まりと言われている。
高井田系ラーメンは、肉体労働で汗を大量にかく工場の労働者向けのラーメンなので以下の特徴を持っている。
 ・塩分濃度が高い醤油スープ。
 ・ボリュームのある極太麺を使用する。
 ・値段が安い。
 ・夜勤明けに食べられるよう、お店は朝から営業(通称:おはようラーメン)
 ・テイクアウトができることが多い。

高井田系ラーメン店の例

他エリアのご当地ラーメン店が活発なのも大阪のもう一つの特徴といえよう。特に目立つのが尾道(広島県)。尾道ラーメンを謳う店が何軒もあるが、同じ経営者がやっているわけではない。一度に一杯ずつしか作らない「一杯入魂」の「山長」は、食べ終わったスープに特製酢を入れて飲むとさっぱりできる。店の人に頼むとスープが多くても飲み干すのにちょうど良いくらいまで減らしてから酢を入れてくれるので助かる。ほかには、「十六番」「十八番」「月光仮面」など。
他にも四国の徳島ラーメン「まる徳」や「東大」鹿児島系の「真琴」、九州とんこつラーメン「ばっこ志」「しぇからしか」と西日本のラーメンが各種出店している。西日本だけでなく新潟燕三条背脂ラーメン「なおじ」や喜多方ラーメン「喜多方食堂」、札幌ラーメン「ラーメン白樺」、岐阜県高山ラーメン「麺屋しらかわ」、山形ラーメン「烈火」、など中部、東日本側からの参入もある。最近では東京で牡蠣のラーメンで名を馳せたSoupmenが「Oysstey 日本橋店」として進出したり他エリアのラーメンの流入が多いのも文化・経済のひとつの中心地としての魅力かもしれない。

他エリアからのご当地ラーメン店などの例

「大阪にうまいらーめんがない」(ラーメン不毛地帯)などとよく言われるが、こうしてあげてみるとけっこういい店もあることに気が付く。他にも繁華街の奥にあってちょっと見つけにくい「作ノ作」や、コンビニのカップラーメンにもなり多数の弟子を輩出する1957年創業の「カドヤ食堂」、豊中で人気のイタリアン・フレンチテイストを取り入れた「五大力」などなど、大阪も目が離せない地区の一つである。
近年では奇抜な社名・店名で快進撃をつづけるUNCHI株式会社の「人類みな麺類」「くそオヤジ最後のひとふり」や、行列を作る「桐麺」、「人生JET」など高評価の新しい店舗も増え、大阪はラーメン激戦区とも言えるエリアとなった。
大阪ふくちぁんラーメン、金龍、神座などのローカルチェーンのラーメン店から天下一品(京都府)、ラーメン横綱(京都府)、来来亭(滋賀県)、一蘭(福岡県)、丸源ラーメン(愛知県)などの全国区のラーメン店も展開し東京と同様にあらゆる種類のラーメンが楽しめる大都市である。

ローカルの多店舗展開のラーメン店の例

●どうとんぼり神座 … フレンチテイストを取り入れたラーメン。コンソメのようなスープに具には白菜とチャーシュー。関東にも多数出店している。
●大阪ふくちぁんラーメン … 自家製麺店炊き豚骨スープ、店仕込継ぎ足しタレのチャーシュー。無料キムチバー。
●金龍ラーメン … 巨大な龍のオブジェ。繁華街で24時間営業、外国人にも大人気。

また上記掲載した高井田系ラーメンの麺屋7.5Hzも多店舗展開をしている。

大阪で人気のラーメン店の例