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ラーメンペディア

尾道ラーメン (広島県)

中国エリアご当地ラーメン探訪

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尾道ラーメンとは

尾道市を中心とした広島県備後地方のご当地ラーメン
ダシは鶏ガラがメインで小魚(瀬戸内産のいりこ等、魚粉)を使用、カエシは醤油味がメインで濃いめで済んだ茶色のスープ。麺は少加水の平打ちの中細ストレートで、コシ(弾力)がある。スープの上に豚の背脂のミンチを載せる。東京の背脂チャッチャ系と違って粒が大きい形(繊維を壊さない切り方)で提供する。

平麺、背脂のミンチ、ダシは小魚を

 尾道ラーメンは、昭和3年(1928年)頃、福建省出身の張さんが屋台ではじめたのが最初である。なので、歴史は長い。しかし、ご当地としては規模もそんなに大きくなく、地元での有名店もそんなに多くはない。ただ、都内ではもちろん、全国的にもその名を知らしめることができたのは一つには「朱華園(しゅうかえん)」(1947年 朱阿俊氏が屋台で創業)という名店の存在。地元の「尾道ラーメンを全国に」という動きである。
 尾道ラーメンが最初に注目されたのは2005年、向島(広島県尾道市)の造船所敷地内に戦艦大和の1/1スケールの映画セットが造られ、撮影後一般公開されたときと言われている。観光客が一気に増え、その食事として深夜までラーメン店が賑わったという。
また、瀬戸内海の島々を渡りながら本州と四国を結ぶ「しまなみ海道サイクリングロード」が開通(1999年)し、2014年にはCNNから世界7大サイクリングルートに選定された。
その他にもたびたび映画や文学、アニメなどの舞台となり、観光資源の成長とともに始点・終点である尾道とそのローカルフードである尾道ラーメンも人気を得ていったという。また、急な注文の増減にも親身に対応した創業1950年の老舗製麺所「井上製麺所」などの存在も大きい。
 尾道ラーメンの特徴は三つある。「コシのある平麺(西日本では珍しい)」「スープに浮いている背脂のミンチ」「瀬戸内の小魚をダシに使う」。しかい、尾道の代表店である「朱華園」は、平麺と背脂ミンチのルーツではあるが、この三番目の特徴である小魚を使っていない。実はこの「小魚」は尾道ラーメンを売り出そうと考えた人が瀬戸内であることを特徴づけるために新たに加えたものである。だから「朱華園」は尾道ラーメンではあるが尾道のラーメンではないのである。取材などでも尾道ラーメン特集という場合には、お断りするらしい。スープは鶏ガラベースで豚骨はわずかに加えるだけ。
地元では朱さんと親しまれた「朱華園」は2019年に閉業したが、その血筋を「朱華楼」が受け継ぎ、また創業者 朱さんの奥様が娘さんと一緒に朱華園から徒歩1分ほどの近くに2020年に「中華そば 朱」を新規オープン。

ラーメンジャパン / ラーメン店の例

尾道ラーメンを提供する老舗店の例

 他の人気店を挙げてみよう。中華そばと同じスープを使った「中華うどん」というメニューがある「つたふじ」。ダシの効いた醤油味がうどんにも合うのだ。鶏ガラ・豚骨に小魚を使っている。「味平」は、主人が独学で研究したもので尾道ラーメンとしては個性的なほう。鶏ガラ、豚骨、野菜、ダシ昆布などに加え、小魚ではなく干し貝柱を使っている。麺は細麺。背脂ミンチには香りづけをしている。「味龍」は天然素材で作った無化調スープが売り。
 なお、尾道市の隣の福山市も尾道に匹敵するラーメン街で、「朱華園」や「つたふじ」の支店をはじめ、いわゆる尾道ラーメンが多数存在する。

尾道ラーメンを提供する人気店の例

首都圏で食べられる尾道ラーメンのお店の例